物理学者の追い求めた「美しさ」と、その後の戦い
昨夜のNHKで、ヒッグス粒子発見に至る物理学者の戦いを描く番組を見た。以下、自分なりの理解の下で記するので、過ちがあればお許し頂きたい。
電磁力(電子と原子核の間に働く力・化学反応を起こす力)、
強い核力(クォークを結合させ陽子や中性子・中間子などを作る力)、
弱い核力(ニュートリノや電子を放出して中性子が陽子に変わるときに働く微弱な力。放射能や核反応に関係する力)
の三つの力を理論から発見し、その理論をより単純化させる=より美しい理論を作ることに物理学者は取り組んできた。
そしてそれが叶ったと思われた瞬間、物質の質量はゼロだとの結論に達した困惑。
見ていてわくわくする展開であった。
この質量ゼロの難問を解決に導く理論として1964年に、ヒッグスが「ゲージ対象性の自発的やぶれに関する理論」を発表したが、それは、過去に積み上げられてきた理論の美しさを損なうもので、ある物理学者は、美しい家の中のトイレのようなものとたとえていた。
この理論は、ビッグバンや真空の相移転からはじまり物質の存在を証明する標準理論の中で重要な一部を構成すると考えられてきたが、先ごろヒッグス粒子が発見されたことで、その正しさが証明されたのだ。
ホーキング博士や佐藤教授の素人向けの著書をむさぼり詠んだ頃が懐かしい。
超ひも理論を知ったときは、素人ながら何か宇宙の成り立ちの一環に触れた気がしたものだ。
物理学者の最終目標は、上記の3つの力と重力(これらの中では最も弱い力)を統一して説明できる理論の構築と、その正しさを証明する戦いであろう。
中学生の頃に、アインシュタインの考えを分かり易く説明する著書を、目を輝かせて読みふけった頃が思い出された。
このような良い番組を是非、学校でも児童生徒に見せて欲しい。理屈は分からなくても、真実を追究する人間のエモーションに触れることは、恐らく、勉強しなさい、を1万回言うより、よほど子供の向上心を助けるものになることは間違いない。